不動産を購入する過程では、さまざまな書類や準備が必要なものがあります。ひとつでも不備があると、スムーズな不動産購入ができません。ここでは、「契約に関するもの」「融資に関するもの」「購入後の手続きに関するもの」に分け、必要な書類や買い主が用意しなければいけないものについて解説します。

契約に関する書類&準備するもの

購入を申し込むとき

「この物件が欲しい」と買い主が決めたら、購入申し込みをおこないます。用意されている「購入申込書(買付証明書ともいわれる」へ必要事項を記入します。買い主側が用意するものは、本人確認資料(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)のみです。新築分譲の場合は、申込金を払うこともあります。

売買契約を結ぶとき

契約時に必要な以下の書類は、不動産会社側が用意してくれています。

  • 重要事項説明書
    購入する物件の法的な制限、取決めなどを記載した書類。
  • 売買契約書
    売買金額、契約後の流れ、売主との約束事や違約・解約などを記載した書類。
  • 一般媒介契約書
    不動産購入に関しての取りまとめを不動産会社に委託することを記載した書類。

買い主が用意するものは以下のものになります。

実印・認印

  • 本人確認資料
    運転免許証またはパスポート、健康保険証の写しなど。
  • 収入印紙
    売買契約書に張りつけるためのもので、郵便局などで購入することができます。不動産会社が売買契約書と共に事前に用意してくれることもあります。その場合は、契約のときに手付金や仲介手数料などと一緒に支払います。
  • 手付金
    売買契約書をかわすときに支払います。現金か現金小切手を用意します。手付金の額に特に制限はもうけられていません。一般的には、売買金額の1割もしくは100万円単位のキリの良い金額を双方で話し合って決めることが多いようです。
  • 仲介手数料
    事前に取り決めをしている場合は、契約の時点で仲介手数料の半分を支払います。

そのほか、場合によっては、収入証明書(源泉徴収票か確定申告書の写し)、住民票、住民税決定通知書(納税証明書)、印鑑証明書などが必要となることがあります。住宅ローンの利用の有無や、不動産会社によって必要なものが異なりますので、前もって確認をしておくことが大切です。

決済をおこなうとき

決済の際は、「登記手続き」「火災保険への加入」「諸費用の支払い」「融資の手続き」をおこないます。これらに使われる書面は買い主側が用意する必要はありません。買い主が用意しなければいけないものは以下のとおりです。

  • 実印・印鑑
    登記や融資関係の書類には、実印で署名押印をします。それ以外の場合や、現金払いの場合は、認印でかまいません。
  • 本人確認資料
    運転免許証またはパスポート、健康保険証の写しなど。
  • 印鑑証明書
    融資を受けるときなどに必要です。新住所のもの(3ヵ月以内)を用意します。
  • 住民票
    登記の手続きをするときに使用します。新住所のもの(3ヵ月以内)を用意します。本籍地は省略してもかまいません。登記は住民票の住所氏名でされるので、覚えておきましょう。
  • 通帳と通帳の印鑑
    残金の支払いの際に必要となることがあります。
  • 残代金分の現金や預金
    登記費用、仲介手数料(契約のときに半分支払っている場合は、残り半分の額)、火災保険料の支払いに必要。
  • 区分者変更届など
    マンションを購入する場合に必要となることがあります。

住宅ローンなどの融資に関する書類&準備するもの

住宅ローンなどの融資を金融機関などから受ける場合、利用する金融機関から指定されたものを、融資の審査をおこなう日までにそろえておきましょう。一般的には、収入を確認できるものや勤続年数が確認できるものを準備するよう、指定されることが多いです。事前審査申込書などは金融機関が用意してくれています。

  • 収入を証明することができる書類
    給与所得者:過去2年間の源泉徴収票、所得証明書 など
    契約社員:雇用契約書、過去1年分の給与明細 など
    個人事業主:確定申告書の控え など

いずれも職種や勤続年数などによって、必要な書類が異なります。勤務先や市町村役場に行って準備するものがほとんどなので、時間に余裕をもって行動しましょう。そのためにも、事前によく確認しておくことが大事です。

  • 本人確認資料
    印鑑、運転免許証またはパスポート、健康保険証の写しなど。
  • 物件に関する情報
    物件概要書、間取り図、土地公図の写しなど
  • 他に借入がある場合
    もし、他にも別にローンを組んでいるものがあれば、「借入中の残高証明書」が必要です。

融資の審査を受けるとき(本審査)

事前審査にとおった後におこなわれる審査です。事前審査に比べ、よりくわしい書類が必要となります。本審査に必要な「借入申込書」と「団体信用生命保険申込書兼告知書」は、いずれも金融機関側が用意してくれます。買い主が用意するものは以下のとおりです。

  • 本人確認書類
    運転免許証、健康保険証、パスポートなど
  • 収入証明書類
    給与所得者:源泉徴収票、住民税課税決定通知書または住民税課税証明書
    個人事業主:確定申告書、納税証明書
    法人代表者:法人の決算報告書、法人税納税証明書、法人事業税納税証明書
  • 住民票
    同居家族全員の続柄が記載してあるもので、発行後3カ月以内(新住所)のもの。
  • 印鑑証明書
    借り入れる本人、連帯保証人、担保提供者それぞれのものが必要です。発行後3カ月以内(新住所)のものを用意しましょう。
  • 他に借り入れがある場合
    借り入れ中ローンの返済予定表、返済が確認できる通帳。
  • 物件に関する書類
    売買契約書の写し、重要事項説明書の写し、建築確認済証、登記事項証明書、物件概要書、間取図、土地公図の写しなど。購入する物件によって、そろえなければいけないものは異なります。よく確認しましょう。

融資の契約をおこなうとき

こちらも契約の際に必要となる「住宅ローン契約書」「抵当権設定契約書」は、金融機関側が用意します。買い主が用意するものは以下のとおりです。

●実印・銀行印
●運転免許証またはパスポート
●収入印紙
●新住所の住民票
●新住所の印鑑証明書

税に関する手続きのための書類&準備するもの

一定の条件に該当する中古マンションを購入した場合、税の軽減手続きをすることができます。この手続きは不動産購入からしばらくしてから、買い主本人がおこなうものです。必要書類が多いため、早めに準備をして、お得な制度を上手に利用しましょう。

不動産取得税の軽減手続き

不動産を取得したときにかかる「不動産取得税」を軽減するための手続きです。申告すると大幅な減額が期待されます。必要書類をそろえて、きっちり申告をしましょう。

●印鑑
●不動産取得税の納税通知書(引っ越して半年~1年で郵送で届く)
●売買契約書
●登記事項証明書(法務局)
●住宅家屋証明書(市町村役場)

※()内は入手先をあらわします。

住宅ローン控除の手続き

いわゆる「ローン減税のための確定申告」をおこなうことです。住宅ローンの年末残高の1%に相当する所得税が、10年間にわたって還付されます。不動産購入の翌年におこないます。必要書類は以下のとおりです。

●源泉徴収票(勤務先)
●新住所の住民票(市町村役場)
●住宅ローン年末残高証明書(金融機関から毎年、年末に届く)
●売買契約書
●登記事項証明書(法務局)
●住宅借入金等特別控除額の計算明細(税務署窓口またはインターネット)

※()内は入手先をあらわします。

不動産購入の際には、たくさん準備するものがあります。特に、自分で役所などへ行って準備する必要がある書類は、早めに確認をして、多めに準備しておくとよいでしょう。

たとえば、住民票と印鑑登録書に関しては、新住所に移動した後のものが必要な点に注意してください。また、住民票は、本籍地とマイナンバーをはずしたものを用意しましょう。これらは登記手続きの際にも必要となってくるものなので、よく確認して必要枚数をもらっておくとスムーズです。